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連載コラム「いまここを生きる」(第103回)御在所(ございしょ)岳――新婚の旅
 私事(わたくしごと)だ。
 短く報告する。
 実は私、6月4日に、結婚した。
 相手のひとは、旧姓・久河明子さん(以下、明子とする)。縁あって、逢った。
 6月4日に結婚したのは、ムシの日だから。
 ムシ、むし、虫。なぜなのか多くのひとびとが嫌っている小動物群。人間の意識をはるかに越えて存在し、人間が生存する前から存在する小動物たち。その小動物が世界にいることを祝賀恭賀慶賀するんだ。
 そんな意味が、虫賀という姓にある。
 だから、6月4日なんだ――。
 ま、ダジャレなんだけど、ね――。
 いわゆる式はあげない。
 いわゆるパーティーはやらない。
 いわゆる新婚旅行なんかしない。
 それが2人の希望。
 それでも、旅はしてみようか……。
 旅行じゃなくて、旅だ――。
 直観でいくつかの旅のアイディアが浮かんできた。
 最初に浮かんだのは、山だ。
 《山によって、最初の心の危機を乗り越えることはできた。助けてくれた山々に登ろう。繰り返し登っていこう。私の登山は、数じゃない。高度でもないんだ。社会的な仕事をして、もしも60まで生きれたら、いままで登らなかった山へ行こう――。20歳のころにそう思った。幸いなことに58まで生きることができた。明子は山登りはしたことがない、と言う。初心に帰って、もういちど日本の山の現在(いま)を二人で味わってみようか》。
 そう思う。
 第一回、第二回、第三回……と新婚の旅をつづけようと思う。
 初回は、三重・滋賀両県の御在所(ございしょ)岳。鈴鹿山脈の主峰。1212メートル。
 腰痛を再発させたので、湯の山温泉が麓にあるのは、うれしい。
 源泉46度のアルカリ性単純泉。ヌメヌメ、ツルツル。腰痛には、やっぱり、温泉がいいね。
 6月のある日の朝、7時半に明子と宿を出発。
 表道という名の登山道をゆっくりと登り始める。温泉旅館街の坂道の傾斜が急。自然と、ゆったり登らざるをえない。
 何も急ぐことのない「新婚の旅」だ。ゆっくり、行こう。
 鈴鹿スカイラインという有料車道を渡って、山域に9時にやっと入る。
 頭を下げ、手を合わせ、山の森へ入っていく。
 急登。木の根をつかみながら、花崗岩を急登していく。
 よく知る比良山系の花崗岩に比べ、固い。太い。でかい。御在所岳自体がひとつのどでかい花崗岩のよう。ひとつの巨大なローソクのように立ってる感じ。
 藤内壁でロッククライミングしているひとがいたけど、いいんじゃないかな。そんなには私はやらなかったけど、岩の壁と友だちになるのも気持ちがいいね。
 梅雨の中休み。降水確率ゼロの、おだやかな青空。白い雲が増えつつあるけど、雨の感じは、幸いなことに、ない。
 眼下に伊勢平野が広がる。曇っていて、はっきりは見えないけど、伊勢湾の海が、かすかにしずかに光る。風がない。のんびりした日和。
 11時20分。長者池を見て、頂上へ。北に伊吹山がうっすらと見える。西に琵琶湖は残念ながら見えない。
 「えっ!?」と思うほどに、頂上にはひとが多い。15人、16人がいる。ロープウェイで登ってきたひとか? でも、「10日間定期点検のため休業」と張紙にあった。きっと他のルートで登ってきたんだろう。人気の山塊なんだ。
 小っちゃな山頂部には、スキー場、リフト、レストランがある。奇怪な感じ。「こんな小さな、狭い、閉じた所でスキーして楽しいのか」と普通に思う。こうした奇妙で観念的な快楽追求は少ないほうがいい。1日でもはやく、撤去されることを祈る。そのほうが健全な経営である。2〜3年で、自然が回復する。比良山スキー場の跡地がそう。
 山頂ではさまざまな家族がさまざまにランチをとっていた。フライパンを台所から持ってきて、火をおこし、ステーキを焼いているひとにはびっくり。ナイフは持ってきていないようで、肉を歯で食いちぎっていた。犬歯の存在はありがたいんだ。おもしろい不思議な光景――。
 12時40分、下山。裏道という登山道を下る。
 ヤマボウシの白。ヤマツツジの紅。ドウダンツツジの白。くっきりとして美しい。
 ウグイス。ホトトギス。カッコウ。コジュリン。鼻息までが聞こえてきそうなくらいに近くで鳴いている。
 3時20分、無事に下山。ありがとう。明子、膝をやられることなく、下山できた。もういちど、湯の山温泉に浸り、近鉄電車に乗った。
 電車から明子に指さす。「あれだ、あれが御在所。登った山!」と。近づく夕刻の陽をあびて、巨大なローソクのように光っていた。
(6月19日)

| 虫賀宗博 | いまここを生きる | 19:40 | comments(3) | trackbacks(0) | - | -
おめでとうございます!
一日一日を楽しんでくださいね!味わってくださいね!共に!


とうごうけいこ
| keiko togo | 2014/06/20 7:45 PM |


ステーキ
歯で食いちぎる

おなか よじれるほど
おかしぃ。

虫賀さん・明子さん
おめでとうございます。

まんきつ〜!
わたしも、うれし〜!
たのし〜!

| あおやぎ やすこ | 2014/06/24 3:49 PM |

ご結婚おめでとうございます!(^^)!
お2人の末永いお幸せをお祈りします(#^.^#)

われはもや 安見児(やすみこ)得たり 皆人の得難(えかて)にすといふ 安見児得たり  万葉集第95番歌
| 南 悟 | 2014/06/28 10:07 AM |










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