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自分を知ってもらうことも生きる喜びのひとつ――3月例会のレポート
 4週間も経ってしまった。肉体的に肩、首その他が痛んでいた。私が怠慢していた(4月23日のコラム「永源寺温泉」)。申し訳ない。
 3月例会の「感話」(3月29日)。そのレポートである。
 落合祥堯さんの感話「私の中の言葉たち」。
 落合さんによって語られる言葉。引用に流れることなく、いまここでも出会っている言葉群。過ぎ去りえない思い出袋。生々として、立ちあがる言葉。
 そのうちのひとつ。「零位(れいい)に立つ」(共同体の山岸会の合宿演題)。
 キャリア、経験、技能を積み上げていく現世の人生観。有の思想。
 それを零、無へ持っていく。いったん捨ててみる。
 「そう思うだけで、心が落ち着いた」「言ってみれば、おまじない。そのおまじないによって、私は安らかになるのです」(落合さん)。
 なんとすなおか。
 そうなんだ。落合さんの感話は、なんとも言えぬ「気高い善良さ」に満ちていた。参加者はそれに触れ、心を開く。心開いて耳をかたむければ、沁み聞こえてくる。ある参加者は「論楽社で聞いた話でいちばんよかった」と言っていた。心に沁みたのだ。あたたかさが相互交換されていた。
 鶴見俊輔さんのこと、「反射を育てる」「思想は態度のこと」と落合さんはまとめた。これこそ、落合さん自身のことだ。思想とは知識ではない。知識ぐらいは勉強すれば、身につく。言葉にはならないモヤモヤ、迷いが大切。立派な知識、言葉ではなく、表情や言い回し、言いかた、動作やしぐさ――態度だ――をふくむ全体性が思想。身体性に裏付けされていないと、信じられない。どんな左翼の言説を学生時代に言っていても、就職すれば転向するひと、秋の落葉の数ほどいる。ゆえに態度。落合さんの態度にすべてが沁み出ていたな。
 落合さんと30年のつきあい。その年月の中、時が重なり、思いが結晶して、「感話」になっていった気がしている。
 「できるだけ自分に正直に意見や疑問を外に出そうと決めました。自分を知ってもらうことも生きる喜びのひとうなのです」(落合さん)。
 杏(あんず)さだ子さんは、竹内浩三(1921〜45)についての感話。
 三重県伊勢市の竹内呉服店のぼんぼん。映画が大好き。マンガも書く。すし、トンカツ、ビフテキを食べ、豪遊したこともある。音楽を愛し、たくさん恋をし、たくさん失恋もした。
 そんな竹内浩三。ふつうの、いとしい青年。そんな青年が詩を書き、死後公表された。
 反戦ではない。厭(えん)戦である。そんな竹内の詩。
 非戦に左翼(性)は必要ない。いまここのいのちを深めれば深めるほどに、非戦へ近づく。
 戦は別れである。好きなひとの別れであり、おいしいモノを食べること、詩を味わうことへの別れでしかない。戦の全体を書けば書くほどに、非戦へ近づく。
 「戦死やあわれ/兵隊の死ぬるやあはれ/とほい他国でひょんと死ぬるや/だまって だれもいないところで/ひょんと死ぬるや」(「骨のうたう」)。
 白骨の御文(蓮如)だってある。いのちを深めれば、骨の視点が現出するのである。
 「竹内に会いたい。いっしょに遊び、そして、いま何を語ればいいんか、聞いてみたい」(杏さん)。
 友人の竹内浩三君。そんな「竹内君」に語りかけるように語ってくれた杏さん。いとおしいひとをいとおしく語ってくれた。存在感があった。
 岸野亮哉さんの感話も、白骨の視座を持っているものだった。スリランカ、イラクへ旅し、「ひょんと消ゆるや」のひとびとをカメラマンとして追い求めた。誠実な、しかしキリキリとした語り。
 時間が足らなかったな。ゴメンネ。アリガトー。
 今回も斉村康弘さんの写真の記録が届いている。一期一会の、あのとき。落合さん、杏さん、岸野さんの姿である。それぞれ深い話をありがとうございました。斉村さん、写真、ありがとうございます。
 4週間も遅れた。すみません。こんなに遅れたのは初めて。ゴメンネ。

1
写真1 落合祥堯さん

2
写真2 落合祥堯さん

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写真3 杏さだ子さん

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写真4 杏さだ子さん

5
写真5 岸野亮哉さん

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写真6 岸野亮哉さん

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 13:37 | comments(2) | trackbacks(0) | - | -
虫賀さん、ありがとうございました。


落合さんのいつまでも聞いていたいような静かな声と

岸野さんの怒りや苦しみを、ギュッと抑えた語り口が

心に残りました。

私にとっては、浩三さんを語っていくことを、再びはじめようと思わせてくれる集いとなりました。

機会をいただき、ありがとうございました。

| あんず | 2015/05/07 7:09 AM |

NHK FMラジオ 「くらきら」という番組で
竹内浩三の「金がきたら」の朗読が流れました。

この詩のBGMを募集していて、

次回、5月24日(14時〜15時55分)にBGMつきで放送されます。

再放送は、翌日25日(7時25分〜9時20分)です。放送開始から1時間20分くらいしたところ、BGM選手権というコーナーです。よろしければお聞きください。
インターネットでもきけます。

http://www4.nhk.or.jp/kira/#
| あんず | 2015/05/18 9:45 AM |










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