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連載コラム「いまここを生きる」(第284回)ウラヤマ(その1)

 比叡山(848メートル)という古来有名な低山がある。
 縁あって、京都盆地に生息し、40余年。朝に夕に見上げている山だ。
 その比叡の北側にひょこっと小さく突起屹立している山岳がある。山地図を見ると、横高山(よこだかやま、767メートル)。別名釈迦ヶ岳。比叡と並ぶ神体山。
 でも、私にとったら、裏山という感じ。
 「いちど登ってみたい」と40年思ってきた。
 その縁が巡ってきた。
 そう気づき、11月19日(日)の早朝に八瀬から登り始めることに。
 少し登り、谷に出る。黒谷である。
 法然が20代30代の20年間籠もった黒谷の青龍寺は、この谷のもうひとつの道を登ったところにある。同寺も「どんな所やろうか」という思いに訪ねた(ブログ「いまここを生きる」2011年3月10日「連載コラム「いまここを紡ぐ」(第297回)法然――誰にもわかりやすく、しかも、誰にもわからない道を登っていく」)。
 台風21号の爪痕(つめあと)がかなり残っている。1か月前の衆院選の投開票の夜のときの風速30キロ台風だ。
 枯木のマツはもちろんのこと、太いツガの生きた大木までが黒谷を塞いで、倒れている。
 杉も何本も何本も倒れている。
 跨(また)いだり、潜(くぐ)ったりして、けっこう大変。汗が出る。
 休みながら、歩幅小さく、コツコツ登る。
 朝霧を乗り越え、急登する。
 寒い。小っちゃいみぞれのようなものが降っている。きっと初雪(あとで比良山系が初冠雪と聞く)。
 なのに登るので、体は汗だく。暑い。
 帽子、手袋をしながら、タオルで汗をふく。これが冬の低山登山だ。
 コゲラ(キツツキ)がいる。小さいのに存在感あるね。ドラミング(太鼓打つように樹木をつっつき、虫をとる)の音(ね)が響き渡る。
 コナラもシデも、広葉樹が多い。日差しが落ち、楽しい。
 サクラ(ヤマザクラ)が3本並んでいて、それが谷風に吹き上げられ、天の舞いのように飛び上がっている。サクラの黄紅葉は美しいね。それらが東西南北上下の六方に飛翔している。その落ち葉を踏みたくて、きょう、登ってきたんだな。
 モミジが何十本も群生しているところがある。みぞれも降り込まず、静謐な場所。ゆっくり深呼吸。2017年の秋の紅葉を堪能。そこでほうじ茶を飲んで、ほっこりする。目の前の山稜に青龍寺が見える。
 もう頂上。所要1時間40分。
 横川(よがわ)中堂のほうへ下山。比叡には東塔(根本中堂)、西塔、横川の3つあって、その3つ目の横川へはまだ行ったことがなかった。初めて行ってみた。
 親鸞、道元が学んだ横川だ。手をゆっくり合わせる。
 横川から大宮谷を下りる。こんな深い谷が比叡の東側にあるとは、全く知らなかった。
 比叡の京都側は花折断層に沿って、きっとスポッと切断されている。
 こっちの滋賀側の比叡は火山活動のまま残存しているんだろう。突起のような小山がいっぱいあって、群れている。
 おもしろくて、山も深い。谷も深い。
 そうして昼すぎ1時に、紅葉をめでるひとびとで賑わう日吉大社のところに下りる。終了。
 半日の低山コース。体力はほとんど不要。日常を離れ、日常を深めるためのミニ山行。
 私にとって、こういうコースは、ヒマラヤ逍遥ではなく、ウラヤマ(裏山)徘徊。
(11月30日)

| 虫賀宗博 | いまここを生きる | 10:01 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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