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連載コラム「いまここを生きる」(第307回)ウラヤマ(その4)

 「ウラヤマ」の4回目。
 裏山をウロウロと徘徊し、低山でのんびり深呼吸するというシリーズの記録である。
 5月5日に天ヶ岳へ登った。
 「あまがたけ」、私はいい名前と思っている。
 標高は788メートル。北山(丹波山地)の花背(はなせ)と大原の間に位置。
 いま、日の出がちょうど5時。すっかり明るくなった5時45分に家の玄関先を出発。
 天ヶ岳は、いわばご近所の山岳。いつもの散歩道を歩いて、その延長線に登るのである。交通費はゼロ。
 5月なのに寒い。セーターが必要(1時間もして、脱いだけどね)。
 歩いてもなかなか体が温まらない。途中比叡山の山際(ぎわ)から差す朝日を受け、やっと少し汗ばんで来た。
 森全体に夜露がしっぽりと下りていて、新芽新緑の草々が小雨に降られたように、濡れている。
 この寒さは温暖(高温)化の影響。高温化によって、地球上の氷雪、氷河が溶けつづけている。北極海いちめんの氷も消えはじめている。北極海のカラ海の氷がから(空)になることによって、結果として大気がゆらぎ、偏西風が強い影響を受け、蛇行が始まっている。時に北方へ、時に南方へ、いままではありえない動きを示すようになってきている。偏西風が南下すると、ありえない寒さを日本列島にもたらし、北上すると、とんでもない暑さを日本列島にもたらすと聞く(新潟大学・本田明治さんによる)。いままでは想像もつかない変化が現実に起きている。うーん。
 7時15分に岩倉を抜け静原の里に出る。森の立ちこめる靄(もや)の中にガサと音がする。キジだ。珍しい。うれしい。
 8時ちょうどに、天ヶ岳の西俣の谷を登り始める。
 この登山道、あまり利用されていないらしい。ひとの靴が最近入った形跡がない。道印のマーク(赤や朱の蛍光色テープを付ける)がない。うーん。ついでに言うと、昭文社版の「京都北山1」(北山クラブ調査・執筆)にも、ふつうはあるはずの所要時間の表記がない。登っていないのではないか。書き忘れたのか。
 おまけに昨年10月の台風の秒速30メートルの突風のため、西俣の谷でも倒木が多い。倒れた小枝を集め、塞(せき)止め、わずかに感じられていた道を消してしまっている。分岐するポイントを過ぎて、登ってきたんだ。
 「あれれれ!?」。
 道がない。
 さあ、どうするか。
 戻っても分岐点は倒木といっしょに流されてしまっている可能性は大。
 戻らないことにする(山で迷ったら戻るのが原則なんだけども)。
 直登だ。それがいちばん近道だと判断。コンパスで天ヶ岳頂上の方向を定め、確認しながら、V字の谷を登る。傾斜30度か。40度の急斜面を登る。汗が流れる。
 途中2回、ズルッと滑り、頭に訃報が過(よ)ぎった。ま、なんとか20分かけて登り切って、いま、ボールペンを持っている。
 10時20分、天ヶ岳頂上。天は青、青、青。天上の音楽が聞こえてきそう。
 明子の卵パンを食べる。うまい。黒糖もうまい。
 低山は山地図にのっていない作業林道が付けられているので、道に迷うこともあり。あまりひとが行かない登山道は廃れることもあり。低山こそ、留意を――。
 風が吹き上がる、気持ちのよい寂光院道を大原の里へ下る。
 12時半に下山。午前中にほぼ終了するウラヤマ徘徊。
 こいのぼりが大原の里に泳いでいる。
(5月10日)

| 虫賀宗博 | いまここを生きる | 06:25 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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