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連載コラム「いまここを生きる」(第328回)パン種

 光る言葉。ただ自ら光っている言葉。それが好き。私自身にとっては、それがおいしい。
 それも、短い、小さな言葉。よく噛んで、旨みを味わいたい言葉だ。
 たとえば、そんなメモ書きの断章の25。
 ほんの少し書いてみる。カッコの中は引用者名。敬称略。直(直接味わった言葉)。

 

 1.一億一心にならないで、一億一億心になるように(藤田省三、直)
 2.所有とは窃盗である(プルードン)
 3.教会に来ようと来まいと関係ない、ひとは宗教によって救われるのでない(本田哲郎、直)
 4.親問題を解くこと(鶴見俊輔、直)
 5.耳より上に手をあげない(阿波根昌鴻)
 6.嵐から 雲から 光から
    新たな 透明なエネルギーを得て
    ひとと地球になるべき形を暗示せよ(宮沢賢治)
 7.私には顔がない(森崎和江、直)
 8.すっぽんぽんのいのちを生きる(森崎和江、直)
 9.アフガンを救うのは武器ではなく、水だ(中村哲、直)
 10.その瞬間瞬間を捨て身でかかる(中村哲、直)
 11.ほんものの図書館は天から降ってこない(才津原哲弘、直)
 12.母はいちどだって強い子になれとは言わなかった、ただ、やさしかれ、やさしかれと語りかけた(松下竜一、直)
 13.どのひとも必要があって生まれてくる(金在述、直)
 14.強制連行され、働いて、死んでいった朝鮮人の肺塚を建てる(李貞鎬、直)
 15.動けば、動く(伊奈教勝、直)
 16.あなたがいて、私がいる(伊奈教勝、直)
 17.対決するものの根づよさをようやく知りはじた(島田等、直)
 18.日本の村のつくりだしたものに比べられるような思想的達成は(日本に)まだないのではないか(谷川雁、直)
 19.祈るべき天と思えど天の病む(石牟礼道子)
 20.生きることに飢えかわいていた(近藤宏一、直)
 21.戦後の日本は外交と言い得るものはなかった、あったのは日米関係だけ(木村俊夫、安江良介から聞く)
 22.核兵器に殺されるよりも核兵器に反対して殺されるほうを私は選ぶ(宇都宮徳馬、安江良介から聞く)
 23.9条を改めたら、アジアの国の民衆の怒りと不信は10倍にも強くなる、9条改定は国の問題ではなく国際問題(日高六郎、友人から)
 24.ぼくらの暮しと企業の利益とがぶつかったら企業を倒す ということだ ぼくらの暮しと政治の考え方がぶつかったら 政府を倒す ということだ(花森安治、友人から)
 25.真の文明は山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし(田中正造の日記)

 

 以上。

 岐阜の生家には本は仏教書以外なかった。新聞は岐阜日々新聞(当時、現在は岐阜新聞)。小学生のチビのころから私はその「にちにち新聞」(と呼んでいた)をよく眺めていた。気づいたら、読んでいた。言葉も覚えた。
 中学生のころから、コラム(囲み)記事を好んで読むようになっていった。
 いま、そのコラムを書いている。
 短い、(できたら)光る、旨みのあるコラムを書いてみたい。そう思っていまもペンを持つ。
 その骨子となるメモ。断章。光る言葉。
 これらを酵母にしてパンにしたい。
 食べてもらいたい。
(10月4日)

| 虫賀宗博 | いまここを生きる | 09:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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