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スピリチュアル・アビュース――友人が教えてくれた本(その1)

 できることならば深い直観に満ちて、生きたい。
 できることならば一日いちにちを深い呼吸に恵まれて、ていねいに大切に生きてゆきたい。
 そう思っている。
 それぞれのひとに小さな神々が宿っている。じゃあ、友人とは何か。互いに無明(むみょう)が湧くことなく、その友人の言葉や記憶にその神々のありようが感じられ、心の生産力が高まり、私も自然と安らぐのである。
 その友人がふとしたことでことばにし、私の直観が「これだ」と思った本を紹介したい。
 計6冊になる。3回になる。その1、その2、その3だ。
 友人には先輩や先生も入る。
 名を出して、ごめん。匿名も考えたけど、「かえって変か」と思ったので。
 では、始める——。
 A. 藤田庄市『カルト宗教事件の深層——「スピリチュアル・アビュース」の論理』(春秋社、2017年)。
 塩田敏夫さんが「(この本の)書評を書いたので」と連絡してくれた。さっそく岩倉図書館へ直行。その場でリクエストした。
 スピリチュアル・アビュース。霊性(スピリチュアリティ)への虐待。カルト教の教祖が自らが勝手につくりあげた宗教システムによって、宗教的な絶対地位を濫用し、もともと魂の救済を願って入信している信者のスピリチュアリティに働きかけ、精神をムチャクチャに利用操作すること。オウム真理教は殺人まで犯している。
 信者は教祖の言葉をカンタンに内面化してしまう。「努力不足」「修業不足」と自分自身を責め、ますます呪縛から離脱できなくなる。いいひとすぎる。でも決して弱いわけではない。どんな強いひとでも引っかかるのが、スピリチュアル・アビュース。
 「宗教では救われない」と思うのは、こういう地平のことである。
 本書を読んで思ったことなので、書く。
 150年間の天皇制支配国家の日本がスピリチュアル・アビュース国家なのではないのか、という直観だ。
 前半の明治日本が特にそんなんだけど、理念として家族国家。宗教国家。
 天皇が大親(おおおや)さま。臣民のひとりひとりが赤子(せきし)。天皇は赤子を可愛がっているんだから、その天皇が命令したら、いのちを投げうつ——。そんな論理だよね。
 全部ウソだ。別の言いかたをすれば、ファンタジー。ありえない空想。奇妙な夢。
 権力を権力と思えない。支配を支配とも思えない。ふしぎな霊的支配。「なんでみんな信じているんだろうか」と思う宗教国家。
 現実には軍隊では「上司の命令は陛下の命令」として、すさまじい支配暴力が相次いでいるのに、なぜか、ふんわりとして家族国家論が流れていって、信仰されていったんだ。「みんな、同じ日本人だから、仲よくしてあたりまえだ」と現実の支配権力構造を否定してしまう。ウソなのに、みんな、信じてしまう。対立抗争ケンカがあっての人間社会。ひとって、そういう存在。論楽社内部だって、そうだった。少数者や反対者、文句言いのひとたちへ、スピリチュアル・アビュース。凄い差別侮蔑。排除、いじめ。
 とってもつらいマインド・コントロールがいまも続く。
 B. 保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』(講談社現代新書、2018年)。
 これも塩田さんが教えてくれた。11月例会のとき、ふと東條英機のことで次の引用のところを言ったので、おもしろいと思った。
 「敵機を何で撃ち落とすのか、と問い、高射砲で撃墜するとの答えに、『違う。精神で撃墜するのだ』と訓示している」(本書P.37)。
 アハハハ。でも、首相という地位にいた東條だから、笑えない。カラッポの宗教家のような発言だ。
 東條は文学書なんて読まない。政治書も全く知らない。演説草稿にルビをふっていたよう。「政治家ではない」(同P.37)とも言っていた。首相していたのに。
 「精神論が好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」(同P.13)というひと。「安倍晋三首相と似てい」(同P.14)て、「『自省がない』という点に尽きる」。
 「日本には決して選んではならない首相」(同P.14)ということ。この東條によって、勝てるわけがない対米戦争に突入していった。
 ファンタジー宗教国家ということは、要するに「無責任の大系」国家ということ。70年前の戦争だって、7年前の原発だって、誰ひとり責任を取らない。
 国家設計の最初からが失敗ではなかったのか。土台から造り直さないと。それぞれのひとがわがままでいいんだ、ということから始めないと。
 塩田さん、ありがとう(この項、終わり、その2へつづく)。
(12月6日)

 

| 虫賀宗博 | いまここを生きる | 06:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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