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大きな蕪――鈴木君代さんの1月例会レポート

 1月27日(日)、鈴木君代さんは心をいっそう開いた。心を開くと、いろんな話が自然と広がっていった。
 君代さんの心の師の和田稠(しげし)さんについて、まずは話してほしい。そう、君代さんに手紙を出していた。
 「ナムアミダブムがいのちにとってすべてだ」「戦争は人間が人間でなくなってしまう」の2点。この2点が和田さんの生涯で繰り返し語っていたこと。君代さんはそうまとめた。
 前者について、ナムアミダブムと縁のないひとに、少しわかりにくいね。
 次のように考えればいいかも。「生老病死の苦にあわないと、ワシらは人間になれない。苦をいのちに落とし、受けとめていく。つらいけど、少しずつ、少しずつ。このままの姿で、悩んだ姿のまま、いのちの流れに沿って歩いていく」。このことを和田さんも、君代さんも言っているんだと思う。
 それが、親鸞の仏教の知恵の光。「その光を当てて、自我の暴走をなんとか押え、生きぬくんだ」という励ましが光。
 そうこう話してくるうちに、君代さん、心をもっと開く。
 そうして昨年7月に死刑になった井上嘉浩(よしひろ)さんについて語り始める。
 君代さんは10年間面会を続け、結局のところ、井上さんの葬儀の手配をし、勤めることになった。
 井上さんはオウム真理教の元信者。元幹部。
 君代さんとは互いに高校まで住んでいたところが京都市右京区の全くの近所ということもあって、「同時代同場所にいた」という直観が走った。君代さんと井上さんは、同じように苦悩の中、ひとを求め、法を求めて、歩いた。君代さんは親鸞に出会ったけど、井上さんはなんとオウムの教祖に出会ってしまった。
 「事件を知ったとき、他人ごとには思えませんでした」と君代さん。
 「わがこころよくて、ころさぬにはあらず。また害せじとおもうとも、百人千人をころすこともあるべし」「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」(歎異抄)。
 「真実を求めながらも流転しつづける人間の業について、語り部になってもらう使命がある」と君代さんは思い、井上さんも同感だった、と言う。
 井上さんの最後の手紙、「いのちの大空の下、いつも一緒です。ありがとう、ありがとう。大丈夫大丈夫」。いい言葉。
 井上さんのいのちは、君代さんの中に生きつづけることとなっていく。2人は心の友だ。
私の思いは君代さんとは違う。申し訳ないけど。短く言えば、「宗教の目的は、慈悲と知恵。この2つがないような宗教だったら、無いほうがいい」。
 空中浮遊に対しては「無記」で十分(「あの世があるか」という質問にブッダは「無記」、答えなかった)。笑えば十分。そんなことが「慈悲と知恵を醸すかどうかを見極めればいい」である。
 善良な個人が集まっても善良な集団がうまれるとは限らない。論楽社の小さな歩みひとつ見ても明白。だから、最低限の公開性をふくめた戒律が必要。シンプルなルールで参加者みんな、例外なく束縛されないといけない。日本はどこかアノミー(無規範が支配的になった社会)。仏教界もほとんどが妻帯肉食者、戒律がない。なのに「悟り」への希求だけがあり、理想化、神秘化がある。ふしぎ。オウムは天皇制宗教もふくめた日本社会全体の問題。
 カルト教の実行犯を処刑したって、根っこが残る。土台が残る。第二、第三の同様な殺害事件が起きるんだ——。
 君代さん、3年前にとんでもないことがあって、海の底へ落ちてしまっていた。私も明子も心配していた。祈っていた。
 井上さんという「心の友」の死もあり、大変だけれども、どこか覚悟が決まった感じ。君代さん、やるね。これからだ。覚悟が井上さんからのプレゼント。
 1月例会の全体がまるで絵本『おおきなかぶ』のようだ。
 君代さんも私も、うんとこしょどっこいしょ。和田稠さんも井上嘉浩さんも、うんとこしょどっこいしょ。「子ども2人も難病で死なせ、その2人の分まで生きる」という参加者もいっしょに、うんとこしょどっこいしょ。13人の参加者みんなで、うんとこしょどっこいしょ。大きな蕪を引っぱって、抜く。
 蕪って、何か。私は、「人生の意味」だと思った。
 あったかーいものを感じる。君代さんの人生で感じとったあったかいものだ。
 歌は4曲だけだったけど、心満たされた思いだった。ありがとう。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 22:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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