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月に腰掛けて――杉野真紀子さん(馬子さん)の3月例会レポート

 馬子さん(杉野真紀子さん)の3月例会について、レポートする(連載コラム「いまここを生きる」の4月4日「馬子さん」も参照してね)。29人の参加者もうれしかった。
 馬子さん。
 とてつもなく感情量が大きい。放出する気(エネルギー)の量も桁外れである。
 その姿が少しでも伝われば、うれしい。
 まず、馬子さん、50年来の古典絵本『スーホの白い馬』(福音館書店)を朗読。馬に出会った契機が、この名作絵本なんだ。
 死んでいく白馬。スーホは叫ぶ。
 「白馬、ぼくの白馬。死なないでくれ!」。
 ここで馬子さん、泣く。
 ポタポタと涙を落としながら、音読。
 ふと思う。私、司会席で音を立てて涙が落ちるのを聞くのは、1989年の安江良介さん(『自画像の描けない日本』にまとめている)以来だ。
 安江さんの感情量もゆたか。馬子さんの感情量もゆたか。
 馬子さん、『スーホの白い馬」以来、馬に一心同体化。
 馬のように4つ足になって、家の中で暮らす。
 自分を馬だと思っていた。
 馬の鳴き声も堂に入り、臨場感がある。ものまねの声とは思えないほどに。
 ところが、10代の当時の馬子さんは「日本では馬を持つことはできない」と思い込んでおり、しかたなく「鉄の馬」(バイクのこと)に熱中。
 ケガして、バイク競技をやめ、世界一周をバイクで敢行。そうして、次の言葉に出会う。
 「アース(地面)から離れては生きてゆけない」(ネイティヴアメリカンの長老)。
 この言葉によって、もういちど馬の原点に戻る。
 地に足をつけて、生きろ——。
 そうして生まれて初めてバックパッカーの旅に出る。
 飛行機も使わないで。
 そうして、やっと、馬に出会い直していく。
 モンゴルで馬を借りて、旅をする。
 遊牧民の生きかたに目覚めていく。
 動くことに意味があり、じっとしていると流れが滞ってしまうので、動く。
 現代日本社会において、所有しない。土地だって、地代を払うっていう発想を持たない。「いいよ」と言われる空(くう)の地に住む。定職はない。貯金はない。バイト生活。
 意味を残さず、結果を残さず、生ききって、この世から消えてゆく。
 歌をうたい、酒をのみ、かけがえのない友人をつくって、わが人生を生きていく。
 アナーキーに。
 ブッダの時代(初期仏教)の僧侶のように。
 樹雨(きさめ)に打たれ、雲を摑み、月に腰を掛けて(笑)、生きてゆく。素の人間として、あるがままの感性を守りながら、馬子さんは生きていく。
 馬子さん、ありがとう。ありがとう。ありがとう。

 

 4月例会は、4月28日(日)、桝本進さん(岐阜の共同体「ゴーバル」)。ネパールへの旅の話。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -









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