「いまここを生きる」時代から続くシリーズ。「ホームスクールへ、ようこそ、ようこそ」の第14回目である。
きょうはひとりの新人のことを書く。
その子、まだ小学校の3年生。両親の国籍が日本とインドネシア。ダブルの文化を持つ女の子だ。
柔らかい言葉、静けさのあるひとだ。
ホームスクールへ最初に来たとき、何気なく、絵本『森はだれがつくったのだろう?』(童話屋)を彼女が手にした。
そうして静かに「神さま」と言う。
「そうだね。そうとしか言いようがないよねえ」と私は答える。
「何を言うか」も大切だけど、「どう言うのか」がもっと大切。
彼女の伝えかたがいい。
作文を引用してみる。私が言いたいこと、伝わるかな? 私はおもしろいと思う作文。
「学校の門を出てすぐちかくで道にしみこんでいるきれいな水たまりを見つけました。
これはなんだろうと考えていました。わたしはこれを空にうかんでいるにじが水たまりにうつっているんじゃないかと思いました。でも空を見あげても空にはにじがかかっていませんでした。
考えてもなににも見えてこなかったからママをおむかえに行きました。
まだわたしは水たまりのことを考えています。」
もうひとつ。原文のままだ。
「(略)学校でべんきょうがわからないとき、頭がくらくらするとき、こんな声が聞こえます。
『だいじょうぶだよ。まずは体をうごかそう』と言う声が聞こえます。
その声はいつも聞こえると言うわけじゃなく、こまったときにたすけてくれます。
そのむねから聞こえる声をわたしはかみさまだと思ってます。
いつのまにかわたしとかみさまがあそんでいると友だちになっていました。」
私の心が整えられていくのを感じる。彼女の魂の、明るい静けさに。