論楽社ほっとニュース

京都・岩倉の論楽社からお届けします
<< 連載コラム「いまここを味わう」(第48回)獄中での気づき――自らのいのちの井戸を掘っていくこと | main | 連載コラム「いまここを味わう」(第50回)いまなお限界がある自力の救いを >>
連載コラム「いまここを味わう」(第49回)原爆投下の練習で400人が

 ホームスクール(家庭学校)のひとりのお母さんから、急に「模擬原爆について授業してくれ」と言われた。
 そのひとはときどき絵本を教えてくれたり、4ヶ月前にはグレタ・トゥーンベリさんのことを教えてくれている(連載コラム「いまここを味わう」(第32回)「たったひとりのストライキから始まる」2020年2月6日)。
 もちろん、私は「よろこんで」と引き受けた。
 そうして、令丈(れいじょう)ヒロ子さんの『パンプキン! 模擬原爆の夏』(講談社 青い鳥文庫、2019年6月、以下本書とする)を借りた。
 「娘(小学4年生)がコレ(本書)を読んで、凄く興味を持ったんです」。
 まず本書を読んでみる。
 100余のページで、アッという間に読める。
 主人公の小学生の男の子と女の子が対話(くちゲンカもあり)しながら、「自由研究 パンプキンについて」を大きめの紙に書き上げていく——という物語である。
 本書は本書でいい。でも、本書だけでは——。
 では、あまり一般に知られていない、この爆弾の歴史をどう授業していけば、いいのかな——。
 まず直観したことを、年々の積み重なっている思いを、次の2点で書き出してみる。
 A. ハロウィンかぼちゃのようなネーミングだけど、重さ5トン(!)の巨大な、長崎に落下したファットマンそっくりの爆弾である。
 核爆発装置はないけど、爆弾は爆弾。1945年7月20日〜8月14日に日本各地の49か所に投下。死者はなんと414人(判明できるかぎりにおいて、本書の図版から計算)。何倍もの数の負傷者。
 同年7月16日に米国のニューメキシコ州において核爆発の実験。人類史上初めてのこと。核分裂の連鎖反応を起こしたのはプルトニウム(ウラン鉱石はそのままでは爆弾にならない、ウラン鉱石の99パーセントが核分裂しないウラン238でできている、残りのウラン235を取り出し、核分裂させ、プルトニウムをつくり出せば、「効率」よく殺人ができ、世界を支配できる)。
 その4日後に、日本という実験場において、はやくもパンプキンの投下訓練を開始している。
きっと、「この天気、あの風の下に投下したら、こんな死傷者を出す」というデータを集め、そうして投下時に150度回転し、全速力で逃走——という訓練を繰り返してたんだ。
 ただし、日本各地の主要都市は主力部隊が焼夷(ナパーム)弾で無差別に殲滅させられている(紙と木材で作られている日本家屋をいかにして「効率」よく焼き尽くすか、その訓練を十二分に積んで、攻撃)。なので、準主要都市を選んで、別部隊がパンプキンを落下させてさせている。
 広島に実験として落としたリトルボーイ(ウラン型)は例外。史上一回限りのウラン型。核兵器の本命はあくまでファットマン(プルトニウム型)。爆圧臨界式にして四方八方から押え込むので、パンパンに太ったパンプキン型になるんだ。
 B. そのパンプキンは、8月14日まで投下されている。広島も長崎もひとつの通過点。日本の敗北終戦が目的ではない。8月8日には旧ソ連が参戦し、中国東北部をぐんぐん南下しているので、原爆を見せつけ、世界支配のための戦略として、投下実験をしたんだ(きのこ雲の下に何十万人のいのちがあろうが、米軍には無関係)。
 「原爆投下は日本の敗北が目的ではない」ということは、何度も強調してもいい。
 あの野蛮な原爆がなぜ究極の悪ではなく、正義で清潔な聖なるものであるかのような定説のウソ、罠、ペテン、プロパガンダは、何回否定してもいい。このウソ、ペテンを日本のひとびとに信じ込ませている。日本は自らそのウソを信じ、原爆投下について抗議したことはいちどもない。ゆえに米軍の日本支配が可能になっていたんだ。そうして日本は内部から腐っていっている。
以上である。
 日本のいまここを考える授業になるね。
 「どうなるか」はまだわからないけど。
 大阪市東住吉区田辺に「模擬原子爆弾投下跡地の碑」が建っているらしい(本書によると)。そこへまず行ってみようか。遠足かねて。
(6月4日)

| 虫賀宗博 | いまここを味わう | 10:19 | comments(0) | - | - | -









   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>

このページの先頭へ