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連載コラム「いまここを味わう」(第51回)全身の平和

 Jさん、その後、お元気ですか。
 粋な花、樹、虫、鳥のイラストの入った手書き通信、面白く読みました。いいですね。
 手書き通信も手書きの手紙も年々減少しています。残念に思ってきました。なので、一世代下のJさんが手書きに興味があるのを知り、うれしいかぎり。
 ありがとうございます。
 コロナ禍の現在(いま)をどう考えるか、ですよね。
 エイズ(HIV)ウイルスは何年前でしたか。20年前か。
 20年前として、この20年間、さまざまなウイルスが次々と登場し続けています。動物にだけ感染するウイルスだって、メチャ多い(豚コレラや鳥インフルエンザがいつ、人間に向かう「新型ウイルス」になるか、と考えたほうがいいと思っています)。
 人間がとにかく森を切りまくっています。熱帯雨林を破壊しています。各種の動植物の種を絶滅させ、地球上から永遠に消去してしまっています。将来何か異変が起きるかもしれません。だって、さまざまな生命は必要があって、この世に来ているのに、なんで殺戮するのでしょうか。
 そうして、人間と動物の距離がなくなっています。「その動物を食べる」「ペットにする」以外の接近が多くなっています。森林伐採のせいです。必要以上の接触交通はウイルス感染と相関していきます。間違いなく。
 温暖化がますます進んでいます。日本でも温暖化台風、温暖化洪水が多発しつづけています。今夏だって、40度を超える酷暑でしょう。北極やヒマラヤの氷を溶かし、タイガの永久凍土を溶かしています。「眠っているウイルス」だって、溶け出してきています、これも間違いないことでしょう。ウイルスだって、どの宿主で暮らしたらよいのか、わからなくなるほどの激変です。
 Jさん、三題噺です。お題は、「大洪水、中村哲さんの死、コロナウイルス」です。一見無関係の三つも、実はすべてが深い縁によって、結びついています。地球温暖化が明白に結びつけていますよね。
 では、どうしていけば、いいのでしょうか。
 いまだからできること、いっぱいあります。
 やって来なかったことをやっていきましょう。コツコツと、
 間に合う。合わない。そんな効果を考えることから解き放たれれば。
 影響力ある、ひとかどの人物になる――なんていうことを考えなければ。
 Jさんの手書き通信の主題の一つにしていってください。
 思い切って言っちゃえば、Jさん、ひとりひとりが小さくとも全身平和を求めていくことです。私はそう思います。
 全身ということは、片耳や右足、鼻毛だけではなく、全体ということ。一回、二回、十回の失敗にもめげず、乗り越え、家族友人地域と対話しつづけ、運動家のレベルをもっと耕し、深め、全身として平和を希求していくユーモアある姿になっていくことです。
 ある友人は「人類よ、いい気になるな!と世の中に忠告しているのでしょうか」とハガキをくれました。私が言わんとすることかもしれません。
 経済成長率が数パーセントずつ下がったところで、10年前や20年前の暮らしに戻るだけです。何の心配もありません。問題はありません。
 それすらできないことが問題なんです。
 3・11があったのに原発を再稼働させていってように、コロナ後にもまたカジノ、リニアしかないんかいな、という声かけが大切です。「武力で平和をつくれたこと、いちどでもあるんかい!?」「もうカネ、カネ、ゼニ、ゼニだけ、ワシラ、ほんまに幸せになれるんかい!!」という声を出そう。そう思いませんか。
 ひとりで小さく平和を。
(6月18日)

| 虫賀宗博 | いまここを味わう | 09:37 | comments(0) | - | - | -









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