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不思議さの中を生きる――石原潔さんの11月例会へ、ようこそ、ようこそ(その1)

 11月23日(土、祝日)に、石原潔さん(岐阜のハム工房「ゴーバル」)。
 11月例会である。
 半年前に来てもらった桝本(ますもと)進さんたちといっしょに、石原さんは「ゴーバル」を創業した。1980年のことである。
 「その39年間を振り返って、どう?」と自問して、石原さんに浮かぶ言葉がnegative capability(ネガティヴ・ケイパビリティ)という。
 私はその言葉を初めて知った。聞き慣れない、しかもイギリス語なんだけど、その意を知ると、「生きるということの本質」を言い当てていると思う。
 生きていくことの困難さにぶつかったとき、ラグビーのFWのようなパワーを求めがちだ(その力をpositive powerと言うんだろう)。その力が有効のときもたしかにある。
 でも、一過性に終わったり、破壊的になりすぎて、次の難問を生んだりすることだって、ある。「前へ、前へ」だけでは突破できないことがある。
 生きてあることに答えは出ない。その難問がいつ終わるかもわからない。受身で晒され、中ぶらりんの状況が続く。ただ保って、ただ耐えていく。その負の力、悲の力がnegative capabiity(待つ力と私は訳す;連載コラム「いまここを味わうの「待つこと」10月24日付)。
 いま、「ゴーバル」には豚コレラの嵐が吹いている。何百頭の豚を殺処分せざるを得なかった。
 石原さんも病いをかかえていた。
 私たちひとりひとりもさまざまな悲苦をかかえている。日本社会も地球環境も大きな問題をかかえている。
 話せないときは話さなくてもいい。たまに集って、知恵をみんなで出しあい、感じとって、自分自身の場所に戻って、取り組んで生きていく。みんなで考え、自分自身の場所に戻って、目の前の問題に取り組んで生きていく。みんなで考え、ひとりになって生きていく。
 そんな場である。論楽社は。
 石原さんを場の中心に、参加者で感じあおう。

   2019年11月例会
11月23日(土曜日、勤労感謝の日)の午後2時〜4時半。
論楽社(左京区岩倉中在地町148、TEL 075-711-0334)。
石原潔さん(岐阜のハム工房「ゴーバル」代表)の「不思議さの中で生きる」。
参加費1000円(要申し込み、私宅なので人数確認のため)。
交流会5時〜7時(自由カンパ制)。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 20:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -
暮らしのわざに生かされ、生々と生きる――中塚智彦さんの例会レポート

 10月13日(日)の中塚智彦さんの「暮らしのわざ——歌と話と食と」。
 3週間もたってしまったけど、コラム(「待つこと(その1)」「待つこと(その2)」の2回、2019年10月17日付と10月24日付のコラム)に書いてしまったけども、短くレポートしていく。
 参加者は13人。中塚さんのつくる「食」のためか、交流会の参加者が11人。
 「食」のメニューは明子のいつもの手料理以外に、中塚さんが短時間で土鍋で炊いた黒大豆ごはん、えごまししとうパスタ、松茸と鱧(はも)のオードブル、トマトピーマンの煮物を提供した。
 中塚さんの豊かな「暮らしのわざ」である。
 みんなで味わった。
 世の中の表層、すべてが戦争経済の論理の色だけで染め上げ、実際に染まってしまっている。
 原発事故があっても「なかった」ことにして、原発をやめない。オリンピックにカジノ(ばくち)、万博を誘致し、タネ、ミツバチ、海、土、水、農のすべてを資本の論理で売り渡している。
 そのさ中、イソシアネート(香)が中塚さんを襲った。
 入院して調べてみても原因はわからない。「原因不明の腹痛」で退院せざるを得ない。
 聞けば、専門の医者は日本に2人だけとか。
 それでは各地でひとり悩み苦しむ被害者たちの具体的な診断は不可能。中ぶらりんで、原因不明のままに、晒されてしまう。
 もう、どうすれば、よいのか。
 とにかく免疫力をつけて、ともに抵抗すること。
 negative capabilityを保ちながら、生々と生き抜いていくことだ。それが抵抗だ。
 中塚さんにはまた来ていただこうと思っている。
 中塚さん、ありがとう。
 また、「わたつね」に行きますからね・
 いち日、いち日はまっさらな、新しい時だからね。お大切に——。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 23:06 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -
暮らしのわざ――中塚智彦さんの10月例会へ、ようこそ、ようこそ(その2)

 テーマは香り、匂いによる被害。つまり、香害のことである。
 これは、新しい形の公害だ。
 柔軟剤、芳香消臭剤、抗菌除菌剤……と数年前から売り出され、広がっていった。
 もともと「なかったもの」を「あるもの」として広告していった結果だ。
 「暑さによる不快感の緩和」とか「リラクゼーション効果」とまで、メーカーは言い出している。リラックスって、もっと内発的なものではないのか。
 特にこの1、2年がひどい気がする。薬局の前を通るだけでも、フワフワ、フニャフニャした匂いが漂っている。店内に入っても、頭がクラクラしてしまうのは私だけだろうか。
 花王、ライオン、P&Gなどのメーカーには現法上品質(内容成分)表示の義務がない。だから、一切公開していない。不透明なまま。
 調べ上げるひとがいて(古庄弘枝『マイクロカプセル香害』ジャパンマシニスト社)、イソシアネートというとてつもない猛毒が使われていることがわかった。かつ、その毒がナノ(10億分の1の小ささ! 1センチの10億分の1ってわかる?)のサイズにされ、私たちの血液に直接入ってくるという恐ろしさがわかってきた。
 毒が見えない小さい粒になって、見知らぬ間に鼻からどんどん侵入し、ダイレクトに血液中に侵攻しているって、スゴイ。
 そうして、これは、コワイ。
 放射能もコワイけど、「小っちゃくされたイソシアネート」もコワイ。
 10月13日(日)に話してくれる中塚智彦さん、香害によって体調不全が発症しているんだけども、電磁波や化学物質による発症であろうが、それはすべて身体の総負荷量が超えたからだ。
 もうガンバリきれないところまで来たんだ。
 他の誰かが発症してもおかしくない。
 私が発症してもおかしくはないんだ。
 「無香料のせっけん洗剤」をみんなが使えばいい。
 昔ながらの「せっけん洗剤」がいい。
 そうして、昔ながらの免疫力を高めていく暮らしを、やっていくことだ。ひとりでも多くのひとともに。
 歌をうたうのもいい。歌は時代を乗り越えていく愛情だ。
 中塚さんの歌を聞こう――。
 おいしい食をいただくのもいい。食は時代を生きる愛情だ。
 中塚さんが三品をつくるそう。縁のあるひと、集って、いただこう――。
 まだ8人の参加。もう少し、だ。
 ようこそ、ようこそ。

   2019年10月例会
10月13日(日)、午後2時〜4時半。
論楽社(左京区岩倉中在地町148、TEL 075-711-0334)。
中塚智彦さん(食堂「わたつね」店主)の「暮らしのわざ――歌と話と食と」。
参加費1000円。要申し込み(私宅なので、必ず)。
交流会5時〜7時半(自由カンパ制)。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 21:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -
暮らしのわざ――中塚智彦さんの10月例会へ、ようこそ、ようこそ(その1)

 10月例会が10月13日(日)。
 中塚智彦さん(中京の食堂「わたつね」店主)。
 「暮らしのわざ」と題し、歌と話と食の3つの組み合わせを味わっていただけたら、うれしい。まずは中塚さん自身が、そうして参加者たちが、それぞれがそれぞれに楽しんでもらったら、きわめてうれしい。
 そんな秋日和の、日曜日の午後にしたいねえ。
 ようこそ、ようこそ。
 「わたつね」は町の定食屋レストラン。刺身、天ぷらやフライ、焼魚の定食に、石臼挽きの手打ちそば。純米酒もある。
 町衆たち(洛中のおっちゃんおばちゃん)、学生たちの居場所。
 場所は京都YMCA(三条柳馬場)を北へ何軒か行ったところにある。すぐわかる。
 中塚さん、その三代目のオーナーシェフ。
 その中塚さん、縁あって、京丹後の米軍レーダー基地へ通う。毎月一回は、行っている。ここ5年連続で正月元日には基地前に立って、歌いつづけている。
 10月13日(日)にも歌ってくれる「あなたのところへ」「こいのぼり」「境界線」。自ら詩を書き、曲をつくり、ギターをひき、歌う。
 その歌って、何なのか。
 もちろん「米軍基地なんて、いりません」とまっすぐ訴える歌なんだけども、効果がすぐに現れるわけではない。
 「暮らしのわざ」としての歌と考えたい。
 「どうやって料理の出しをとるか」「調味料は何がよくて、どのタイミングでどれだけ入れるのか」。「洗たくものはどうやって干すのがいちばん乾くのか」「どうやってぞうきんがけするといいか」「屋根瓦や網戸はどやって修理するのか」。
 そういう生活、暮らしのわざなんだ。喜びを生み出す技法だ。他にも考えてみればいっぱいある。
 そのわざのひとつとしての歌なんだ。
 「子どもを育てる」「祭りをする」「手紙を書いたり、詩を書いたり、歌をうたったり、楽器を奏でたりする」「介護したり、看病したりする」「米や麦、そば、野菜を育てる」。
 つまり百の生きることを為すのである。百は「たくさん」を表す。
 その手作業を為すひとのこと、昔、百姓(百生)と呼んだのだ。農民ではあまりにも細すぎる。
 生きるための仕事だから、ゼニとは無関係。労働職業ではないんだ。
 以上の意味での仕事が中塚さんにとっての歌。
 祈りの世界が生成する歌である。
 歌いながら、話す。
 話は、香害。柔軟剤や消臭剤による、凄まじい香害について、だ。
 中塚さん、「わたつね」の調理場に立つときでも毒マスクを付けていることがある。
 毒ガスと同じ成分の、イソシアネートがナノサイズの。めちゃんこ小さなサイズの姿に、
 直接鼻や体の各部位に入ることによって生まれる、さまざまな激痛。
 外部から米軍基地、内部から香害、内外からの暴力。
 抵抗は、生々と生きること(生活という言葉も、本来は生き活(い)きと生きること)。労働職業の範囲を突き破って、生きていくための仕事を生き活きと為していくものなんじゃないのか。
 中塚さんの生のわざとしての料理も少し持ってきてもらおうと思っている。
 歌と話と食である。
 10月13日(日)、ようこそ、ようこそ。
 2か月ぶりに(9月は土日が他用で珍しく詰まっていて、無理だ、ゴメン)、論楽社へ、ようこそ、ようこそ。

    2019年10月例会
10月13日(日)、午後2時〜4時半。
論楽社(左京区岩倉中在地町148、TEL 075-711-0334)。
中塚智彦さん(食堂「わたつね」店主)の「暮らしのわざ――歌と話と食と」。
参加費1000円。要申し込み(私宅なので、必ず)。
交流会5時〜7時半(自由カンパ制)。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 11:08 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -
生きていくことが抵抗――とりいしん平さん8月例会レポート

 遅くなったけども、8月3日(土)のとりいしん平さんの8月例会をレポートする。
 その日は、アーサー・ビナードさん(以下、アーサーとし、敬称を略する)の特集になったね。
 アーサーの新作の紙芝居の『ちっちゃい こえ』(童心社、2019年5月)を8月3日には上演してほしい――としん平さんには前もってお願いしていたけど。
 紙芝居は日本の文化の流れの中でオリジナルに生まれた。紙をいちまい一枚抜いて、物語を目の前にいる聞き手の反応共感とともに作り上げていく。心をともに開いていく。演じ手の力量が必要な、小さな芝居、ミニ演劇。
 丸木位里さん+俊さんの「原爆の図」の絵がまずあって、それらを再構成し、新しい放射能汚染物語をアーサーは再構築していく。再創造していく。
 紙芝居に登場する猫も鳩も犬もじいちゃんもねえさんもあかんぼうも、そうしてちっちゃいサイボウも、そのすべてが「原爆の図」のどこかにすでにある。それらを借景にし、ワシらのすべてがそこから避難逃亡することができない放射能汚染物語にしていくのである。
 引用してみる。地域の図書館にリクエストして、上演していってほしい。

「ハトは爆弾をおとさない。ネコも爆弾をおとさない。いきものはみんなおとさない。
ニンゲンだけだな、爆弾をつくっておとすのは。
どうしてだろう?
ニンゲンのからだだって、ネコやハトとみんなおんなじ、みんなサイボウでできているんのに……。」
「原子爆弾は あたらしい ころしかた。
じりじり じりじり
あとから あとから ころされる。
サイボウをこわすものが そらからふって、つちにもぐって、からだのなかまでもぐりこむ。
たすかっても、つぎの日 つぎの日。
じりじり じりじり じりじり ……。」

 底なしに惨(むご)いピカドンに、ゲンパツ。
 その惨さを、アーサーは「じりじり」というオノマトペ(声喩、擬音語)で表出。
 いまここでも「じりじり」。
 しん平さんは、歌うように、かつ淡々と静かに演じた。
 「じりじり」の日常を演じた。
 「よかった」と思う。
 いつか米国各地でも「じりじり」と上演されていってほしい。
 だって、いまだに多くの米国人は「ピカドンが戦争を終わらせた」という米国政府の言説を信じているからだ。ソ連参戦によって、終戦に至ったことは天皇の御前会議で明白に記録されている。
 ピカドンによっても「ダメだ」と考えなかったのである(これはこれで、もうひとつの惨さがある)。
 ピカドンによって地球を支配しようと思っているグループのひとたちにとって、米国人や米兵、日本人なんかどうでもいい存在。
 その日本人画家のピカドンの絵を使って、ひとりの米国人詩人が「じりじり」とクロスカウンターの言葉を発語し、「じりじり」とヤツらを追いつめていくこと。これがひとつの希望である。
 しん平さん、峠三吉の「序」を歌ったね。「にんげんをかえせ」である。
 生きもののすべてを崩壊させ、日本語すら「ヒバクさせた」(峠三吉『原爆詩集』岩波文庫の「解説」から引用、このアーサーの「解説」、目が開かれる)。
 生きたもののすべてを生きながらにして「生きた 墓標」(峠三吉)にしていく原子力マフィアのヤツら。いったん得た利権と凄まじい権力をを1000年も続かせようとしているヤツら。
 ヤツらに心を、魂を、私自身を売ってはいかん。
 押しつぶされるように、陽気に暮らしていかなきゃならん。
 しん平さんが8月3日に歌ったように、ちょっと切なく、静かに歌いながら、生きていかねばならん。
 生きていくこと自体がヤツらへの抵抗であり、自らの未来の再創造なんだ。
 しん平さん、ありがとう。あなたは、根っこを暖めるひとだね。ありがとう、しん平さん。

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ

 人間の世のあるかぎり、崩れぬ平和をつくっていこう。そう思う8月例会。
 クーラーのない論楽社、暑かった。とりいしん平さん、遠くから来てくれた参加者、助けてくれる明子、みんな、ありがとうございました。一期一会に、感謝。

| 虫賀宗博 | ほっとニュース | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) | - | -
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